自動掃除機能搭載エアコンをおすすめしない理由。現場で目にするリアル

自動掃除機能搭載エアコンが世に出てから20年近く経ちました。未だに高機能エアコンの代表格であり人気のある機種です。しかし細かい性能なども分からず、量販店で薦められるがままに購入している方も多いはず。この記事では設置後数年経った自動掃除機能エアコンを何台も見てきた職人がそのデメリットなどを解説します。

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自動掃除機能とは

誤解している人も多いですが、エアコンの自動掃除機能とはエアコン内部を綺麗に掃除してくれるというものではなく、室内機のフィルターのみを自動で掃除する機能のことです。

自動掃除機能と、内部クリーンや凍結洗浄機能は全くの別物です。内部クリーン機能は湿気が溜まった室内機内部を乾燥させる機能で、凍結洗浄機能は熱交換器を綺麗にする機能です。特に自動掃除機能と内部クリーンが同じものだと誤解している方も多いのでまずはその点ご注意ください。

自動掃除機能搭載のエアコンは現在どの主要メーカーからも販売されており、シンプルなモデルのエアコンの上位機種として「掃除不要」「電気代が安くなる」という謳い文句で発売以来根強い人気を博してきました。しかし長年、エアコン工事やクリーニングに従事してきた人たちは自動掃除機能エアコンの問題に気づき、最近ではインターネットが普及しそれらを指摘する職人さんや利用者も多くなりました。

自動掃除機能のメリット・デメリット

自動掃除機能のメリットは何と言っても自動でフィルターを掃除してくれること、そしてそれによる効率のアップで電気代の節約になるという点。逆に言えばメリットはこれしかありません。

さらに自動でフィルターを掃除すると言っても、完全に綺麗になるわけでもなければ、ダストボックスに溜まったゴミは手で捨てる必要があります。ゴミを外に排出タイプでの機種(panasonic)でも設置状況によっては排気ホースの中にゴミが溜まり続けます(基本的に排気ホース内部を綺麗に掃除するは難しい)。

また「効率アップで年間の電気代を数百円節約」と言っても、この調査は目詰まりしたフィルターを月に2回掃除掃除した場合という条件のもと行われているようですが、月に2回もフィルターが目詰まりするような部屋に住んでいる人もかなり限られます(かなり汚い部屋に住んでいるはず)。

メリットと言われるようなものの非常に表面的なものであることがわかります。

おすすめしない理由

とにもかくにも、自動掃除機能エアコンはおすすめしません。その理由について詳しく解説していきます。

メンテナンスについて

自動掃除機能はフィルターのホコリを取り除くものですが、実際には全てのホコリを取り除けるわけではありません。油分や水分を含んだホコリには弱く、放置していると取り切れなかったホコリやゴミでフィルターが目詰まりします。さらに自動掃除機能エアコンのフィルターはシンプルな下位モデルのエアコンのフィルターより網目がかなり細かくなっているため小さなホコリで目詰まりしやすいようになっています。

「掃除不要」と大々的に謳っているわりには取扱説明書に「たまに手洗いしてください」と小さく注意書きもあります。もっとひどいのは、メーカーにもよりますがフィルターを取り外すのもちょっと厄介なんです。取り外して掃除して戻そうとしたけどうまく設置できていなくてエアコンを壊しちゃった人も少なくありません。

前述しましたが、取り除かれたホコリは室内機内部のダストボックスや排気ホースへいきますが、言い換えればそこを頻繁に掃除しなければ汚い物質がそこにあり続けるということ。ダストボックスならまだしも排気ホースを完全に綺麗にすることは難しい(エアコンから取り外さないと水洗いもできないけど取り外すのも難しい)です。そして結果的に内部がカビだらけになります。実際にシンプルなモデルよりも自動掃除機能搭載エアコンの方が汚れていることは多いです。

ここでまた問題が出ます。シンプルなモデルは頑張れば自分でもある程度綺麗にできますが、自動掃除機能が搭載されているとほぼ無理です。フィルターと吹き出し口付近しか手を出せないと思うので掃除(クリーニング)となると専門業者への依頼が必要になります。クリーニング費用の相場は2万円〜2.5万円です。シンプルモデルのクリーニング費用+0.5万円〜1万円かかってしまうのです。

汚れやすいわりに自分で掃除も難しければ、業者にクリーニングを頼んでも高いという問題があるのです。

費用について

当たり前ですが自動掃除機能搭載していると機種代も高くなります。メーカーにもよりますがシンプルモデル+数万円くらいです。

家電量販店の販売員は「自動掃除機能搭載している方が省エネなので機種代の差額は電気代でペイできます」と言いますが、それは設置状況や使用状況など条件が違えば結果も違うのでその言葉を鵜呑みにしてはいけません。実際は機種代と電気代だけでなく使用期間中でクリーニング等を行う必要もあるのでその差額なども考慮しなくてはいけません。

寿命について

「値段が高いから長持ちする」と思っている人もいますが決してそんなことはありません。どのエアコンも「標準使用で寿命は10年」とされています。むしろ多機能エアコンになると機械部品が増える分故障リスクが増えます。

取り付け工事について

自動掃除機能が搭載されているとエアコン本体が大きくなり工事費用が上がったり、取り付けられないという現場が出てくることもあります。

特に自動掃除機能搭載により室内機が前面に飛び出したモデルが多く、「クローゼットの扉にあたる」「壁の強度が弱いと落下の可能性がある」という問題が出ることが稀にあります。

ちなみにpanasonicのエアコンはちょっと前まで取り除いたホコリを排気ホースで外に排出する方式を取っていたので現場によっては取り付け不可ということもありました。しかし最近ではダストボックス方式を採用するだけでなく、ダストボックス式と排出式の切り替えができる機種(EXシリーズ)も出しています。

工事業者、クリーニング業者がおすすめするエアコン

エアコン取り付け工事業者やエアコンクリーニング業者がおすすめするエアコンはやはり多機能なエアコンではなく、シンプルなエアコンです。シンプルイズベストです。

冷暖房が問題なく使用できれば生活上、ほとんどの人が困らないと思います。冷暖房が使用できて、安さ、持ちの良さ、メンテナンスのし易さなどを考慮しいくつかおすすめのエアコンを紹介します。

三菱電機霧ヶ峰GVシリーズ

安心の日本製エアコン。冷暖房の効きも問題なし。日本製だから?か、故障不具合も他のメーカーと比較すると少ない印象。室外機もコンパクトで場所を取らない。

施工性が良いこともあって、業者間でも人気が高いエアコンです。

ダイキン工業Eシリーズ

エアコンと言えば世界のダイキン。6畳用エアコンの中でも1、2位を争う人気機種。冷暖房の効きも問題なし。故障不具合も他のメーカーと比較すると少ない印象。

唯一難点をあげるとすれば、ダイキンエアコンは室内機にある補助配管(長さ30cm程度)が硬化しやいので引越しで何回も移設するには不向き。

日立AJシリーズ

安い。リモコンは他のメーカーと比較してもかなりシンプルで使いやすい(おもちゃっぽい)。冷暖房の効きは問題なし。

外装(プラスチック部分)の強度がかなり弱いことが難点。移設を繰り返すとその外装部分が多少変形してしまうことも。

まとめ

自動掃除機能搭載エアコンにはデメリットが多いということをわかっていただけましたか?多くの業者がおすすめしていません。実際に多くの人が冷暖房さえ(最近ではスマホ操作もですが)問題なく使用できれば困らないはずです。是非シンプルなエアコンも検討してみてください。

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