エアコンの冷媒配管は再使用できるのか。交換が必須な時とは
「配管の再使用はしたくない」が本音
結論から言うと、配管は条件つきで再使用可能だけど、再使用したくないと言うのが工事業者の本音です。
条件については次の章で解説しますので、まずは本音部分を掘り下げてお話しします。
エアコンの配管は銅でできており、施工(曲げ加工)や劣化により硬化します。能力が低めのルームエアコンに使用される「2分3分」という太さの配管でも慎重に取り扱う必要はありますが、これが硬化すると容易に曲げることもできないくらいの硬さになることがあります(加工時に潰れます)。エアコンの能力が上がり使用する配管も太くなるとそれはより顕著です。
当然のことながら硬化した配管を再使用してのエアコン取り付けは施工難易度が一気に上がり、配管の状態によっては施工(配管の曲げなど)に制限がかかったりなどで最終的にその仕上がりや施工精度にも影響が出てしまいます。
無理な施工をしても誰も得しないので、「配管代を節約したい」お客様が配管の再使用を要望されても「配管の再使用はしたくない」と言う業者は多いと思います。
(配管代で稼ぐことが目的の業者もいます)
再使用のメリットデメリット
メリット
お客様の立場でのメリットは一つ、配管代が節約できます。
デメリット
メリットは1つに対してデメリットはいくつかあります。
- ・冷媒管内に小さなゴミが残留している可能性があり詰まり(故障)の原因になることがある。
- ・配管硬化および断熱材収縮により設置後の美観上の問題が発生する場合があり、ある程度妥協しなくてはならない。
- ・配管の潰れなど物理的損傷があれば美観だけでなく性能にも悪影響が出る。
これらのメリットデメリットを理解した上で「再使用するかしないか」はお客様と工事業者さんで相談が必要です。中には中古配管再使用した場合は工事保証外としている業者もいます。
再使用する場合の条件
引越しなどで既存の配管を再使用してエアコンを設置する場合の条件は下記の通りです(著者の場合)。
- 【1】長さが十分に足りること。
- 【2】折れや潰れなどの物理的損傷がないこと。
- 【3】2分3分配管であること
- 【4】配管内にゴミ等が入っていないこと
- 【5】配管カバー施工がないこと
- 【6】物理的に配管交換ができない場合
なお、標準設置時の条件であり現場条件や配管の状態によって多少変わります。再使用できない・しない場合には新品配管へ交換しエアコンを設置します。
交換する場合の費用
配管の費用は【配管の種類(太さ)の単価×長さ】で計算します。太さについて、ルームエアコンの場合は5.6kw以下は太さ2分3分、6.3kw以上は2分4分の配管が使用されます(一部5.6kw機種は2分4分配管)。
項目 | 費用相場 |
---|---|
2分3分 | 1500円〜3000円/m |
2分4分 | 2000円〜5000円/m |
例えば、6畳用2.2kwのエアコンを移設して移設先で配管交換が生じ、単価が2,000円/mで5m必要だった場合には10,000円となります。
配管交換は現場での突発的な追加費用となることも多いのでその料金(単価)については工事前に確認しておいた方がいいです。基本料金以外の料金が不明瞭な会社・業者もいますので。
特殊条件下での配管再使用
上記【6】でも書いたとおり、配管交換が難しい現場もあります。代表的なのが隠蔽配管です。
隠蔽配管とは、住宅の壁内に配管が通っており壁を壊さない限りは配管が交換できない仕様になっている配管状態を言います。この場合には基本的に既設・埋設の配管を利用せざるを得ません。
メーカーに聞いてみた
配管の再使用のデメリットをお伝えしても頑なに「再使用してくれ」と言う方はいます。そこで「配管再使用してエアコンを取り付けても問題ないか」某エアコンメーカーに電話で聞いてみました(※メーカー側に不利益が被る可能性も踏まえメーカー名は伏せさせていただきます)。
わたし「配管って再使用しても大丈夫ですか?」
メーカー「新品配管を使用するに越したことはないけど、ひび割れ等がなければ特に大きな問題はないと思います。最終的には取り付け業者さんの判断になるのでそちらと相談してください。」
配管に物理的問題がなければ特に再使用しても大丈夫と言う納得できる返答でした。しかし、施工上の問題については一切触れられることはありませんでした。確かに室内機と室外機に「配管を接続するだけ」なら問題ないと思います。しかし、実際にそんな現場はほぼありません。性能を保つこと、配管を綺麗に仕上げること、後々問題が出ないこと、エアコン設置業者としてはこれらを無視するわけにはいきません(無視すると結局クレームになるだけ)。硬化劣化した配管の再使用はこの点において問題があり、配管再使用を推奨していないエアコン工事業者が多いのです。
まとめ
条件つきで配管再使用してエアコン取り付けはできるけど、再使用においてはデメリットもあることをわかっていただけたでしょうか。実際にお客様は再使用できると思っていたけど、工事に来た業者さんから交換が必要と説明され配管代が追加で必要となることもエアコン取り付け工事では珍しくありません。
配管をただつなぐだけなら再使用できるかもしれませんが、実際の現場ではそうはいきません(そんなことできません)。「節約する」ことを目的に配管の再使用を望むお客様は多いですが、性能や仕上がった後の美観も考慮し業者さんと相談してください。
※中には配管代で稼ごうと強引に配管交換を迫る業者もいるので要注意。
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静岡
【フジエアーテクノ】
「ひでさんに来てもらってよかったよ!また今度工事があるときはお願いするよ!」その言葉が聞きたくて工事の品質、価格ともに満足していただけるようにお客様の立場にたって日々作業に精進しています」
エアコン工事キャリア20年/安心の工事1年保証 国家資格:1級管工事施工管理技士 /1級冷凍空調機器施工技能士/第2種電気工事士