エアコン取り付けで適正工具を使わないことは手抜き工事なのか？

エアコン取り付け工事もトルクレンチや真空ポンプなど専用の工具をたくさん使います。据付説明書にもそのような工具を使用するよう、そしてその記載はありますが、果たして必ずしもそれに従わなくていけないのでしょうか。また、それに従わないと「手抜き工事」になるのでしょうか。

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【目次】

・トルクレンチを使用しなければ手抜き？
・フレア加工は電動でやらなければダメ？
・真空引きは15分以上やらないとダメ？
・本当の手抜き工事
・まとめ

トルクレンチを使用しなければ手抜き？

配管接続のナットで締め付け時に規定の力が加わると「カチッ」と音がなるレンチのことをトルクレンチと言います。これにより誰がやっても同じ力で締め付けることができます。

エアコンの据付説明書にも「配管の締め付け時にはトルクレンチを使用してください」という記述があったり、「絶対にトルクレンチを使用します！」とホームページで謳う業者もちらほら見かけます。そのためか、「トルクレンチを使用せずに配管を接続するのは手抜きだ、工事不良」だというお客様がたまにいます。

著者の意見では、トルクレンチを使わなくても「手抜き」ではないと思います。本質は「ガス漏れさせないこと」です。つまり、トルクレンチを使おうが使わなろうが、ガス漏れしなければいいってことです。現にトルクレンチを使っても最終的な微調整を職人の感覚でやらなければガス漏れすることもあります。トルクレンチを使ってガス漏れが絶対に起きないのであれば、先に書いた「絶対にトルクレンチを使用します！」とホームページで謳う業者は「絶対にガス漏れさせません」と書くべきですが、その業者もそんなことは書いていませんね。

昨今はお客様目線も厳しくなったことなどを背景に家電量販店などの請け負いでエアコン設置する業者はトルクレンチの利用が義務化されています（されているはずです）。しかしトルクレンチが物理的（スペース的）に使用できない現場も普通にあります。

ガス漏れのリスクを減らすと言う意味では、トルクレンチも役に立ちますが、必ずしも配管の締め付けはトルクレンチでやらなければならないと言うルールはありません。

フレア加工は電動でやらなければダメ？

Youtubeでエアコン工事職人が配管のフレア加工を電動のフレアツールでやっているのを観てか、「フレア加工は電動でやるもの」と誤解している方がいるようです。電動でできるようになったのは結構最近の話で、まだまだ手動のフレアツールを使っている職人さんはたくさんいると思います。

真空引きは15分以上やらないとダメ？

「真空引きは15分以上やらないとダメ」。これは一般の方がよく誤解していることです。

もちろん、現状況に応じて15分以上やらないといけない現場もあります。しかし、ここの本質は配管内部を真空状態（規定圧以下）にすることです。時間は関係ありません。１時間やっても真空にならないならそれはそれでダメ。正直、ルームエアコンの標準工事であれば雨天でも15分もかかりません。真空状態後数分運転し続け、真空引き作業を止めてそのまま放置（真空放置、5分〜10分くらい）しゲージのメモリに変化がなかればOKです。