マンションの中部屋にエアコンは取り付けできるか?どんな問題があるのか
マンション中部屋でエアコンを設置したいけど業者に断られ、諦めている人いませんか?
1980年代に建てられたマンションの中部屋のほとんどはそもそもエアコンを設置することを考慮して設計されていません。しかし現在でも1980年代築のマンションや団地にお住まいの方も多く、猛暑が続く現代では中部屋でもエアコンがないと生活できないのが実情だとお思います。現役職人の著者自身にもよく「中部屋になんとかしてエアコンを取り付けたいけどどうにかならないか」という相談が毎年寄せられます。今まで受けた相談や施工経験から中部屋へのエアコン取り付けについて解説します。
【目次】
マンションの中部屋とは?
マンションでよく聞く「中部屋」とは、部屋と部屋に挟まれ外壁に接していない部屋のことをいいます。そしてこの中部屋でよく「エアコンが取り付けられない」という問題が起きています。
エアコンは室内と室外機がセットとなっていること、そしてこの2つを冷媒配管および電線でつなぐ必要があることから中部屋へのエアコン設置を諦めている人も多いのではないでしょうか。その特殊性から家電量販店等では工事をしてくれないことがほとんどで、過去に業者から「取り付けできない」と言われたことがある人もいると思います。しかし、中部屋でもエアコン設置できるケース、あります。


中部屋にエアコン設置する際の問題点と対処方法
中部屋にエアコンを容易に設置できないのにはちゃんと理由があります。
室外機が置けない。

中部屋なので室外機を置く場所がないという問題があります。物理的に室外機スペースを作ることもできないので、エアコンを設置するのであればまずは他の部屋に隣接するベランダや共有廊下に室外機が置けるかどうか確認してみましょう。ベランダ等に室外機をおけるのであれば、次はそこまでの配管経路を考えます。
もし室外機がどこかにおける場合でも室内機と室外機の距離(配管距離)が遠く、エアコンの有効配管長(ほとんどの機種が15m)を超える場合には冷媒ガスの追加充填も行わなくてはいけないため、室外機をおく場所はなるべく室内機から近いところから検討するようにしましょう。有効配管長から大幅に超えるとガスを追加充填しても効率が悪くなります。
ドレン排水ができない

ベランダなどに室外機が置けたとして次に考えるのはドレン排水経路です。
夏場、冷房を使用すると室内機の中で結露水がたまるため、その排水経路を確保する必要があります。通常は室外機方向に配管が向かうにつれ勾配を下げ、ドレン排水も室外機付近で行うのが一般的ですが、中部屋の場合は勾配が取れないことも多いです。その場合には、室内の洗濯機置き場や洗面所、キッチンシンクに排水を流せないか確認してみましょう。それでもダメな場合にはバケツで排水を受ける(推奨はしません)<ということで対応されている方もいます。
配管が通らない

配管穴がなければ室内機と室外機をつなぐ冷媒配管も通すことができないので、壁に配管穴を開ける必要があります。室外機をおく場所がリビングに隣接するベランダの場合には中部屋とリビングの仕切り壁に穴をあける必要があります(躯体には配管穴をあけることはできません)。この時、もしリビング側にもベランダに通ずる配管穴がない場合には穴あけを行うか(外壁への穴あけは管理組合の許可が必要)、窓パネルという専用部材を使わなくてはいけません。「配管穴はあるけど、すでに他のエアコンの配管が通っている」場合もあると思います。その場合には2台分の配管が通るか、通せるか、取り付け業者に確認してもらう必要があります。
電源がない
エアコン設置を前提としていない中部屋も多いのでエアコン用コンセントがない場合も多いです。この場合にはブレーカーから電線を引っ張って新規にコンセントを増設する必要があります。電源増設工事で15000円程度〜かかります。
マンション購入・賃貸契約時に確認を忘れずに
最近は中部屋でもエアコンを設置することを前提としてエアコン専用コンセントの設置や先行配管(建築時に配管類を壁の中に仕込んでおく工法)工法で対策しているマンションも多くなったと思います。しかし全てのマンションがそうではないですし、一昔前の中古マンションですと「エアコンは設置しない」ことを前提にされている場合も珍しくありません。
マンション購入であれば購入後に室内(躯体以外)に穴をあけたりするのは自由ですが、賃貸ではそうはいきません。部屋を借りていざ住み始めてからエアコンが取り付けられないことに気が付いたという人もたくさんいますので、もはや夏のライフラインであるエアコンが取り付けできそうかは全部屋チェックしておく必要があると思います。
リフォーム時に先行配管を検討するのもアリ
中古マンション購入・リフォームを検討し、中部屋があるのであれば設計のタイミングでコンセントの設置や先行配管(壁内や天井に配管を仕込んでおく)にしておくのもアリだとは思います。ただ、先行配管ですと工事費用が高くなる・壁内でトラブルになった場合は壁を壊さないといけない・設置できる機種が限られるなどのデメリットもあります。

中部屋へのエアコン設置実例
実際にいくつかの現場を紹介します。
築古アパート、玄関側の部屋にエアコン設置

1980年代築のアパート。外階段を登ったらすぐ玄関があり、玄関横に子供部屋(洋室)がありました。子供が大きくなり受験勉強をするとのことからエアコン設置を考えたところ、室外機をおく場所がないことに気が付いたそうです。室外機が置けるとすれば洗濯機置き場・洗面所とリビングを挟んだ先にあるベランダだけという状況でした。
幸いにも子供部屋のすぐ近くに洗濯置き場があったので、冷房使用時の結露水はそこに排水し、配管は天井を這わせながらベランダまで持っていくことでエアコンを設置することができました。子供部屋〜洗濯機置き場〜洗面所〜リビング、全部で仕切り壁4カ所の穴あけを実施。配管距離は13mほど。
ちなみにエアコンには「有効配管長」というものが決められており、有効配管長以上の配管の長さがある場合には追加でガスを補充しなくてはいけません。こ現場で設置したエアコンは有効配管長が15mだったのでセーフでした。
団地、リビング〜和室を通って配管しエアコン設置

古い団地、玄関をあけるとリビングダイニングがあり、その向こうにベランダに面した和室6畳と洋室6畳という間取り。6畳の部屋にエアコンを設置し、その風をリビングまで送ることを考えたそうですが、効率が悪いことからリビングに設置することにしたそうです。
リフォームにより、LDKにもエアコンを設置できるように電源と和室へ続く配管穴は設けられていました。ベランダ側の配管穴は下側にあるタイプだったので排水勾配も問題なく取れるので、中部屋へのエアコン設置しては難しいことを考えなくても良い現場でした。
中部屋にエアコンを設置できない場合の対策方法
配管が通らない、ドレン排水できないなどでどうしても中部屋にエアコンを設置できないこともあると思います。そんな時は以下の対策方法があります。
- ・リビングなどの部屋のエアコンの風をサーキュレーターで送る
- ・スポットクーラーを置く
- ・窓用エアコンを設置する(窓がある部屋の場合)
まとめ
マンションの中部屋へのエアコン設置は室外機置き場所や配管経路などが問題となり、実現が難しいこともあります。しかし、問題をクリアしていき(お金はかかりますが)、エアコンを設置できる場合もありますのでまずはエアコン工事業者さん、リーフォームするのであれば設計士さんに相談してみましょう。著者自身も中部屋へのエアコン設置を相談されることも多いですが、お客様が無理だと諦めていてもエアコンを設置できた事例もあります。
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