室外機を二段置きで設置する際の費用や注意点などを現役職人が解説

「今ある室外機を二段で設置したい」「室外機を2台置くスペースがないから二段で設置したい」など、意外と室外機を二段での設置を希望される方は多いですが、工事の注意点などを理解しておかないと後で問題が出たりすることもあります。また、室外機の二段設置にもいくつかもパターンがありますので、費用や設置工事の注意点などを解説していきます。

室外機の二段設置工事

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室外機を二段置きにするメリット、デメリット

まずは室外機を二段置きで設置する際のメリットとデメリットから。

メリット

  • ・横のスペースが確保できる
  • ・上の段設置エアコンに関しては室内機と室外機が近くなり配管が短くなり工事費用が安くなる場合がある

室外機二段置きのメリットは何と言ってもスペースが確保できることだと思います。むしろ、それ以外で室外機を二段にしたいという方に著者は出会ったことがありません。

次にデメリットです。

デメリット

  • ・工事費用が高くなる
  • ・下段のエアコン(室外機)交換や修理の時に作業費用が割高になる
  • ・転倒しやすくなる(転倒防止策をとる必要がある)

下段のエアコンに何か(交換や修理)があった時にデメリットを感じることが多くなります。

室外機を二段設置する際の費用

「室外機を二段にする」と言っても状況により費用も変わってきますので3つのパターンで解説します。

既設の2台を二段置きにする場合

既設室外機2台を二段設置に

すでにエアコンが2台設置してあり、その室外機を二段置き架台に設置する場合です。

基本的には、室外機を2台取り外し、架台の上下に再設置するという手順になります。基本脱着費用:8000円〜12000円×2台、二段置き架台:15000円〜20000円(標準サイズ)が相場になると思います。しかし、室外機を移動させるわけですから移設後に配管が届かなくなってしまうこともあります。その場合には配管延長費用も別途かかります。配管延長が不要な場合では30000円〜40000円が相場となりそうです。

既設の1台の上に新規設置の室外機を置き、二段置きにする場合

既設室外機と新設室外機で二段設置に

既設のエアコンがあり、別の部屋にエアコンを新規設置する際に室外機を二段にするケースもあります。

基本的には既設の室外機を取り外し、二段置き架台に組み込む形をとるので、かかる費用は基本脱着費用:8000円〜12000円、二段置き架台:15000円〜20000円(標準サイズ)、新規エアコン設置費用の合計となると思います。

ただ、ケースによっては既設エアコンの脱着は行わず、架台を既設室外機に被せる形で設置し、その上に新規室外機を設置するというケースもあります。この場合には基本脱着費用(8000円〜12000円)がかからないので工事費用を抑えることもできますが、不安定な設置になるので転倒防止策はとるようにしましょう。どのように施工するかは施工業者とお客様での相談が必要です。

新規設置の2台を二段置きにする場合

新設室外機2台を二段設置に

エアコン2台の設置と同時に室外機を二段にする場合、二段置き架台:15000円〜20000円(標準サイズ)、新規エアコン設置費用(2台分)の合計が工事費用となります。余計な費用をかけることがないので、横に室外機を2台並べて設置することをこの先後悔する可能性が少しでもあるのであれば最初に二段置きにしてしまった方がよいでしょう。

転倒防止策について

室外機を二段設置にする場合には転倒防止策をとることをおすすめします。

架台は4本脚で立っているので安定性に問題ないとは言えません。地震や地面の凹み・沈み等により転倒の可能性があります。特に上段に重心がある場合には転倒防止策は必須と言えるでしょう。

基本的には架台(または上段室外機)を外壁に金具や番線などで固定し前方向へ倒れないように対策がとられます。しかし外壁への固定となるので、外壁にネジ穴があくことになります(ヒートンやアイスクリュー、ビスを打つため)。場合によってはアンカーを打つこともあるでしょう。これが可能な現場かどうかが問題になります。賃貸の場合には管理会社やオーナー、マンションなどの集合住宅の場合には管理組合に確認が必要です。

固定できる壁があるにも関わらず、現在全く固定されていないために転倒が心配であれば、ホームセンターで売られている金具や番線のようなもので固定してもよいでしょう。

「外壁にも固定したくない(穴をあけたくない、固定できそうな場所がない)、でも安定性はほしい」というのであれば、重い方の室外機を必ず下段に設置し、専用のコンクリートベースを使用することで安定性を向上させることはできます(必ずしも前方向に倒れないというわけではないので注意してください)。なおコンクリートベースは業者も常に準備しているものではないので、希望がある場合には工事前に必ず業者さんに相談してください。

自分で室外機を二段に設置できる?

既設の2台の室外機が横並びで設置されているから「自分で架台も用意して移動させちゃおう」と考える方もいるみたいですが、おすすめはできません。

他のサイトでも書かれていますが、既設室外機を配管を外さずに二段架台に移動させようとすると無理な力が加わりガス漏れの原因となります。ガス漏れしてしまうと冷暖房が使えなくなりますし、修理費用も安くありません。仮にポンプダウン(室外機へのガス回収作業)を行い配管を外して室外機を架台に設置するにしても再設置のための道具・工具の用意等を考えれば作業難易度および費用的にもDIYでやるメリットがほぼないと思います。再設置をやったとしても作業が原因でガス漏れ起こしてしますリスクも十分にありますのでご注意ください。

よくある疑問質問

室外機の上に直接、他エアコンの室外機を乗せちゃダメなの?

架台を使わずに室外機同士が触れる形で二段で設置するのは必ずしもダメというわけではありませんが、安定性の問題、暖房使用時の室外機下部からの排水の問題、一方の室外機の振動による影響などが懸念されるため、業者の立場としてはおすすめできるものではありません。どうしても希望しているのであれば業者さんに相談してみましょう。

室外機を直置きで二段設置

二段置き設置を業者に頼んだけどグラグラして心配なんだけど・・・

何も転倒防止策(外壁への固定など)がとられておらず前方向へ倒れる懸念があるならば業者さんに相談した方がよいでしょう。ただ工事の際に固定しない方針で打ち合わせをしたのであれば別途費用がかかる可能性もあります。

自分で架台を用意して業者さんに二段設置してもらえば安く済む?

架台の組み立て、転倒防止までご自身で行うことができれば工事費用を安く抑えることはできると思います。しかしそれで業者さんに依頼した場合でも架台への室外機設置工賃は通常の工事費用に加算されることの方が多いと思いますし、架台の組み立て不具合や水平の調整などに問題があっても保証対象外になるケースも少なくありません。これらを考慮すれば業者に一任することをおすすめします。

専用の二段置き架台を使わないとダメ?

専用の架台を使わないとダメというわけではありません。中には角材で台を作っている方もいます。しかし、耐久性や安定性を考慮すると専用架台の方がおすすめです。

まとめ

「スペースが欲しい」「スペースがない」ということで室外機の二段設置を希望される方も多いです。特に狭小住宅やマンションの多い都心では珍しい工事内容でもなくなりました。一番大切なことは「安全に二段設置できるか」「後々問題が出ないか」ということですが、現場状況によってはそれも難しいケースもあります。まずはいくつかの業者さんに相談してみることをおすすめします。

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