写真でわかるエアコン取り付け手順|エアットコ
エアコン取り付け方法・手順を知ることで「自分が依頼したい工事がどのように行われるのか」「何に追加費用がかかるのか」などがわかりやすくなると思います。
また最近ではyoutubeにも「素人でもエアコン取り付けできた」系の動画があり、触発されDIYでやる方もいますが、動画を鵜呑みにするのは禁物!道具の使い方や建物の知識も必要です。知識、技術、工具が乏しい素人さんが失敗したら「エアコンが壊れる」「高額な修理費用がかかる」などの問題が起きるでしょう。「ただの設置」はできても問題なく使用できるように設置できる人は限られるではないでしょうか。
「こんな感じでやるのかー」くらいに参考にしてもらえばと思います。なお、現場状況や職人さんにより手順や施工方法は異なりますのでご理解ください。
【目次】
基本手順
用意する道具・工具・材料

【道具・工具】
- 養生マット(毛布)
- 床や壁を傷つけないために使用
- 脚立
- 天板から1段下がったところに登って設置する場所まで余裕で手が届く長さのもの
- カッター
- 切れればなんでもいい
- メジャー
- なんでもいい
- 水平器
- なんでもいい
- 六角レンチ
- 4mのもの
- ニッパー
- なんでもいい
- パイプカッター
- 冷媒配管(銅管)を切断する
- インパクトドライバー
- 力が強いもの(電動ドリルドライバーは微妙)
- モンキーレンチ、トルクレンチ
- なんでもいい。握りやすいもの。
- ケーブルストリッパー
- なくてもいいが、あったほうが断然いい
- バリ取り
- なんでもいいが、TASCOのバリ取りがおすすめ
- フレアツール
- 配管フレア加工に必須。TASCOまたはBBKで。電動・手動どちらでもいい。
- マニホールド(真空計)
- 真空引き時の真空度を確認するのに必須。アナログ・デジタルどちらでもいいが、デジタルの方が値がわかりやすい。
- 真空ポンプ
- 電動式のもの。
エアコン取り付けに最低限必要なものはこれくらいです。なお、現場によりその他に必要なる道具や工具はたくさんあります。
設置する場所の確認と部屋の養生

まずは家の間取りやコンセント位置などからエアコンを設置する場所を決めます。
作業中は床にエアコンを置いたり、道具を置いたり、脚立を立てたりするのでなるべく厚手のマットで床を養生。薄いマットだと、道具を落としてしまって傷がつくこともあるので注意。
配管貫通穴あけ作業

エアコン(室内機)と室外機をつなぐ配管を通すための貫通穴(スリーブ)が壁に必要になります。既に壁にスリーブがある場合には穴作業は必要ありません。
スリーブがない場合、エアコン設置位置に合わせてコアドリル(ホールソー)で開孔します。この時壁内には柱、間柱、筋交い、コンセントへ繋がる配線、鉄筋(コンクリートの場合)などがあるため、これらを避けて開孔しなくてはいけません。
壁内の障害物を探る方法としては「下地探し(どこ太)」や「下地センサー」を使う方法がありますが、100%信用できない部分もあり、知識、経験を要する作業です。壁内の障害物を探らずにいきなりドリルで穴を開けてしまうと取り返しつかない事態になる可能性もあるので重要度の高い作業になります。
エアコン据付板を取り付ける

エアコンを壁に設置するために据付板(背板とも呼ばれます)を壁に取り付けます。
前項で開孔した(または既にある)スリーブ位置も考慮し据付板を固定します。スリーブとの位置関係が正しくなかったり、寸法的に合わない場所に据付板を固定してしまうと、その後の配管接続作業に支障が出たり、結露水の排出がうまく行われなかったりなどの問題が起こることがあります。
固定位置が決まったらビスやアンカーで留めていきますが、壁の材質やその強度によって施工方法も変わります。
- 石膏ボード(下地なし)
- 壁厚に合ったボードアンカーを使用
- 石膏ボード(下地あり)
- 25mm程度のビス
- コンクリート
- コンクリート用アンカー、プラグ、コンクリート用ビスを使用
- 土壁など強度がない壁
- たて桟金具を建具に取り付け
設置できたら手前に引いてみて強度に問題ないか確認しておくと安心です。
なお、もし既存のコンセントとエアコンの電源プラグの形状が合わない(アンペア数、電圧が異なる)場合には据付板取り付け作業を行う前に電気工事を済ませておきます。
電線接続〜エアコンを据付板にかける

エアコンを据付板に引っ掛ける前に、電線・アース線の接続、配管取り出し口の切り抜き、ドレンホースの付け替えを行います。コンセントにアース端子がない場合はアース線をつながなくても大丈夫です(漏電がない限り)。「アースをとりたい」場合には室外機側で取ることもできます(別途作業)。
エアコンを据付板に引っかけます。上部を掛けエアコンを手前に少しひいて手を離しても据付板が壁からビスごと抜けないか、上部が外れていないかを確認し下部のツメ部を据付板にはめ込みます
エアコンを据付板におさめたら、少し離れたところから眺めて大きく傾いていないか、壁から大きく浮いていないかを確認します。なお、状況によっては配管を接続してから据付板におさめることもあります。
配管のフレア加工と接続

冷媒ガスの通り道である冷媒配管はフレア加工を施しエアコンに接続します。
パイプカッターで冷媒配管を適切な長さに切断し、バリを除去します(バリ取り使用)。配管パイプにフレアナットを入れ、フレアツールでフレア加工を行います。加工が終わったらフレア面(広がった銅菅の内側)を確認し綺麗な鏡面になっていることを確認。大きな傷がある場合にはガス漏れの原因となることもあるので再度フレア加工をやり直します。小さな傷であればガス漏れ防止剤(ナイログ)を塗布することでガス漏れを防げることもあります(具合によりけり)。
エアコン本体から出ている配管に接続しスパナ(モンキーレンチ)、トルクレンチで締め上げて完了です。接続の仕方がよくないとガス漏れを起こします(DIYでの失敗の原因の大半はこれ)。配管パイプを接続したら、接続部に保温(断熱)材を巻いて完成です。
配管レイアウト

ドレンホースも接続したら、冷媒配管・ドレンホース・電線をビニルテープでまとめて、室外機までのレイアウトを作ります。レイアウトが決まったら化粧テープ(コーテープ)を巻いて仕上げます。
もし配管化粧カバーを施工する場合には基本的にエアコン設置前に済ませておきます。
室外機の設置と配管接続

室外機につながる冷媒配管もフレア加工を行い、同様に接続します。接続時にキツキツに配管の長さを合わせてしまうと、引張力が強くなりガス漏れしやすくなるので注意です。
電線も適切な長さでカットし黒、白、赤の順(室内機側と同じ順)で接続します。
真空引きと真空放置

接続した配管内部の不純物(水分)を除去するために配管内を真空状態にすることを「真空引き作業」と言います(水分が残留していると、超低温の冷媒ガスと反応し室外機内部のコンプレッサーの不具合、故障に繋がる可能性あり)。
真空引きには真空ポンプ、真空ゲージ(マニホールド)を使用し規定圧まで運転します。「10分〜15分やれば大丈夫」という情報もありますが、重要なのは時間ではなく規定圧以下まで行うことです。この規定圧になるのにだいたい10分前後はかかりますよ、というお話です。なお、配管が3mとか4mであれば10分もかかりません。
真空引きを行うと真空ポンプから煙みたいな水蒸気が出ます。通常の配管長なのにこの水蒸気がずっと出ている場合にはどこからか空気が入っている証拠です。その場合にはゲージ接続部や配管接続部を再度確認する必要があります。
規程圧まで達し数分したら真空ポンプを止め、真空状態が保たれることを確認するためにそのまま放置。ゲージの値に変化がなければOK。
冷媒ガス解放

真空状態が保たれていることを確認できたら、六角レンチ(4m)で2分側、3分(または4分)側の順でバルブを緩め、冷媒ガスを解放します。これで室内機、冷媒配管、室外機の冷媒回路が1つにつながりました。バルブキャップ、カバーを元に戻し取り付け作業自体は完了です。
試運転とチェック項目
取り付け後の不具合と原因
エアコンが動かない
工事直後に動かない場合には初期不良、電線接続ミスが考えられます。まずは電線がしっかり端子に接続されているか、接続順に問題ないか確認します。問題ない場合は初期不良も考えられるのでエラーコードを表示できる機種であれば説明書を読みエラーコードの確認を行いメーカーに連絡します。
なお、中古エアコンの場合にはガス不足や異物の混入などにより動かないこともあります。
エラーコードが何を示しているかはメーカーのホームページでも確認できます。
エアコンが効かない
エアコン取り付け後、数日〜数ヶ月で効かなくなった場合にはガス漏れの可能性がかなり高いです。素人さんがDIYした場合だと早くて当日、遅くても1週間以内に効かなくなるケースが多いです。
ガス漏れの場合には漏れ箇所を修理し機種規定の量のガスを封入し修理します。自分で失敗し業者に修理依頼した場合には15000円以上はかかるでしょう。
もちろん、効かない原因がガス漏れではないかもしれないので以下のことを確認しましよう。
- ・リモコンでの冷暖房の設定に問題ないか。
- ・バルブは全開になっているか。
- ・配管が途中で潰れていたり、折れていないか。
- ・フィルターや送風ファンが過度に汚れていないか(中古エアコンの場合)
水漏れを起こす
エアコン設置後の初めての夏に冷房を使用し水漏れを起こす場合には、工事不良の可能性が高いです。
- 室内機が穴方向と逆に傾いている
- 【直す方法】配管のやり直し、または据付板の取り付けからやり直し
- 室内機裏から水漏れ
- 【直す方法】ドレンホースの抜けと勾配をチェック、または配管断熱補修
- 配管途中から水漏れ
- 【直す方法】ドレンホースの抜けと勾配をチェック、または配管断熱補修
- 配管化粧テープ表面に水滴がつき垂れる
- 【直す方法】配管の断熱補修
室内機からポコポコ音がする
ポコポコ音は故障ではありません。外気が内部(部屋内)にドレンホースを通って流れ込む際にエアコンに溜まっていた水を押しのける際に出る音です。水溜りがない時には「ヒューヒュー」と風が通る音がすることもあります。異音の解決品として「エアカットバルブ」という専用の部品があります。
室外機の振動がうるさい
木造戸建てやアパートのベランダに室外機を設置すると室外機の振動がうるさく感じる場合があります(共鳴しています)。この場合は室外機台の下に防振ゴムを敷くことで解消または軽減させることができます。敷くゴムはホームセンターで売られている厚さ1cm程度のもので十分です。
まとめ
エアコン取り付け方法と言っても現場により手順や使用する工具は変わります。上記で紹介したのは最低限の道具と基本的な作業内容です。それでもフレアツールや真空引きなどの専用工具・機器がありその使い方やちょっとしたコツを知らないとエアコンを”問題なく”取り付けることは難しいと思います。
著者の私も今まで「エアコンを取り付けたんだけど効かない・・・修理をお願いします・・・」という相談を今まで結構な数うけてきました。「経験したい」という動機であれば素人さんがDIYでやってみてもいいかもしれませんが、「安く済ませたい」という方は最初から業者さんに頼んだ方が安く済む確率は高いでしょう。
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